─試行錯誤の中で生まれる“安定”の感覚
こんにちは、シロロです。
今回は「粘土で育つちから」シリーズの第1弾として、子どもたちが夢中になる活動、**「高く積もう!」**を紹介します。
🟢 活動のねらい
- 粘土の**性質(柔らかさ・粘着力・重さ)**を感じながら遊ぶ
- 手や指を使って形を支えたり、安定を工夫したりする力を育てる
- 友だちと協力しながら**共通の目的(高く積む)**に向かう楽しさを味わう
🟠 活動の準備
- グループ:4人程度
- 材料:粘着力の強い土粘土のかたまりをグループごとに用意
- 声かけの例: 「今日は“たか〜いお山”をつくってみよう!」
「どのグループが一番高く積めるかな?」
このひと声で、子どもたちの目が一気にキラキラ✨
手の中の粘土をぎゅっと握りしめ、積み上げが始まります。
🟡 遊びの展開と子どもの姿
子どもたちは最初、夢中でどんどん積み上げていきます。
でも、高さにばかり意識が向くと……途中で「ぐらっ」とよろけて倒れてしまう。
「あー!たおれたー!」
「もっと押さえないとダメなんだよ!」
「〇〇ちゃんが高くしたからだよー!」
そんな声を交わしながら、子どもたちは何度でもやり直します。
倒れても笑って、また積む。
この**「くり返す中で気づいていく」**のが、粘土あそびの醍醐味です。
やがて子どもたちは、
「土台をしっかりしないと高くできない」
「上は小さいほうがいい」
と、自然に構造の安定に気づいていきます。
中には、てっぺんに小さなおだんごを重ねてみたり、
太いひも状の粘土をぐるぐる巻いて高さを出したりと、
それぞれが自分の方法を見つけ始めます。
🟣 保育者の関わり方のポイント
① “やってみたい”を引き出す導入を
最初から「こう積むと安定するよ」と教えるのではなく、
まずは競争心や挑戦心を刺激する声かけでスタート。
「どこまで高くできるかな?」
「ぐらぐらしてきたね、どうしようか?」
そんな問いかけが、子どもの思考を動かします。
② 倒れても「失敗」とは言わない
倒れたときこそ、学びのチャンス。
「どうしたら倒れないかな?」
「今の土台はどんな感じだった?」
保育者が“結果”ではなく“過程”を言葉にしてあげることで、
子どもは自分の試し方を意識できるようになります。
③ 2つの展開パターンを意識する
- 高さ比べを目標にする活動
→「どのグループがいちばん高い?」と競いながら積む。挑戦心・集中力が育つ。 - 積み方の工夫を考える活動
→「どんな積み方があるかな?」と考えさせる。発想力・構造理解が育つ。
この2つのねらいを合わせて活動を展開すると、より深い学びにつながります。
🔵 子どもの発達と“積む”あそび
「積む」動きには、バランス感覚・空間認識・力加減がすべて関わります。
単に“高くする”だけでなく、倒れた原因を考え、形を安定させるという経験を通して、
子どもは“つくる力”と“考える力”を育てていきます。
また、友だちとのやり取りの中で、
「協力」「意見のやりとり」「失敗を笑える関係性」も自然に育っていきます。
🟤 まとめ
粘土の「高く積もう!」あそびは、見た目以上に奥が深い活動です。
高さを競う楽しさの中に、構造を理解し、手で感じ、考える要素がたっぷり詰まっています。
倒れても、また立ち上がる。
それを笑いながら繰り返す子どもたちの姿は、まさに生きる力そのものです。

次回は「Vol.2 穴をあけよう!」。
指先の感覚を育てる遊びを紹介していきます✨


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