保育士や幼稚園教諭のみなさん。
毎日子どもたちと向き合っていると、ふと「この子は将来どんな大人になるんだろう?」って考えること、ありませんか?
「幸せな人生を歩んでほしい」
この気持ちは、保護者も先生も同じです。
だからこそ、保育園や幼稚園で過ごす時間はめちゃくちゃ大事。
ひとりひとりが人生の根っこをしっかり張れるように、私たちは発達心理学の知識を活かしてサポートしていきたいんです。
子どもの絵は“心の言葉”
園でも子どもたちは絵を描きますよね。
でも実は、幼児の生活そのものが「造形」なんです。
「幼児画は幼児の言葉であり、心の表し」って言われるくらい、絵はその子の気持ちや発達を映し出す大事なもの。
ところが…まだまだ現場では、
- 先生が見本を描いて、それをマネさせる
- 「まず丸を描いて、その上に三角をね」と描き方の説明をする
こんな場面もあります。
一見よさそうに見えますが、これでは全員同じ絵になっちゃう。
子どもが「描きたい」から描いてるんじゃなくて、「描かされている」だけ。
これだと、その子の心の表現を見逃してしまいます。
世界共通!頭足人(とうそくじん)の不思議
「頭足人(とうそくじん)」って聞いたことありますよね?
頭から直接手足がニョキっと出ている絵。
これ、世界中の子どもが描くんです。


この絵を描いた子は、4歳男の子。地面との境界は認識しているけど、頭足人。個人差ありますよね〜。でも、お顔がニコニコ。心が安定しているのを感じます
つまり、表現の仕方は違っても、発達の過程はどの国の子どもでも共通なんですね。
頭足人が出てきたら、「あ、今は胴体の概念がまだないんだな」ってわかる。
これが発達段階を知るってことなんです。
年齢ごとの絵の発達
では、子どもの絵の発達をざっくり見てみましょう。
- 1〜2歳ごろ
何かを表すわけじゃなく、手の動きそのものを楽しむ時期。グルグルやシュッとした線=「痕跡」を残すのが楽しい。 - 2〜3歳ごろ
描いたあとに「これはママ」と意味をつけはじめる。線や丸にストーリーが生まれる。 - 3歳ごろ〜
頭足人がよく見られる。人を描きたい気持ちが出てきて、頭から手足が生えるユニークな姿に。 - 4歳ごろ〜
実際に見えるものよりも「知っているもの」を描く。地面の線(ベースライン)を描いて、世界に“境界”をつける。
園での実例:絵の具まみれから始まる自由表現
私たちの園では、入園したての子どもたちの「緊張した心を解放する」ことをねらいに、まずは“ぬたくり遊び”からスタートします。
絵の具、クレパス、チョーク…いろんな画材を日替わりでとにかく自由に。
外で大きな紙に描いたり、段ボールをキャンバスにしたり。
手に塗っちゃう子もいるけど、それも立派な表現です。
「汚れるからダメ」なんて言いません。
絵の具の楽しさを全身で味わうことで、子どもたちは「表現するって楽しい!」を体感できるんです。
そこから少しずつステップを踏んで、生活の中で捉えたものを描いていきます。
ダンゴムシを捕まえて触ってから描くと、足の本数や丸まる姿まで細かく表そうとするんですよ。
園にいるカモやチャボ、ウサギやネコ。実際に触れ合ってから描くと、その子の目に映った“ほんもの”の姿が紙に残ります。
さらに、ヒガンバナやドクダミなど季節の草花も題材に。
観察して描くことで「知っているもの」から「感じたもの」へと表現が広がっていきます。
こうして繰り返し画材に触れ、生活とつなげながら描いていくことで、子どもは「表現する喜び」を自由に獲得していきます。
まとめ
子どもの絵は単なるお絵描きじゃなく、心と身体の発達が映し出された大切な表現。
だからこそ、先生が手を加えて“整える”のではなく、子どものままを受け止めてあげたいんです。
「この子は今こんな発達段階なんだ」
そう思いながら絵を見ていくと、毎日の保育がもっと面白くなりますよ。
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